伊東市長が大卒かどうかはどうでもいい…岩田健太郎「田久保眞紀氏が一連の騒動で証明してしまったモノ」 | PRESIDENT WOMAN Online(プレジデント ウーマン オンライン)

静岡県伊東市・田久保眞紀市長の学歴詐称疑惑をめぐる騒動は今も続いている。感染症医の岩田健太郎さんは「大学の卒業証書をもらっていようが、もらっていまいが、そんなことはどうでもいい。だがそのような『どうでもいいこと』に拘泥してつまらぬ言い訳を繰り返す不誠実さは、政治家としての職能欠如を端的に表している」という――。

学歴に関心が高い医学界隈

私は「学歴」に関心がない。関心がないだけなので、別に「学歴」を憎悪しているわけでもなく、「反学歴」主義なわけでもない。とにかく興味がないのだ。

誰かを雇用するときも、出身校を採否の根拠にすることは皆無だし、ほとんど見てもいない。雇用したあとも各人の出身校も覚えていない。私の職場界隈は、むしろ「学歴」に非常に関心が高い人達が多いので、私が各人の出身大学に無関心で無知なことに呆れ返っている。

私は島根県の町立小学校、町立中学校を卒業し、学区内にある県立高校を卒業した。島根医科大学(当時。現・島根大学)に進学したのはもっぱら「カネの都合」である。できるだけカネをかけずに医学部に行こうと思ったが、自治医大や防衛医大などの義務年限が面倒くさかったので、次いで「安上がり」だった島根医大に推薦入学したのだ。

他の大学は一切受験しなかったし、運よく浪人もしなかったので、「カネをできるだけかけずに」当初の目的は果たせたものと思う。当時は国立大学の学費はいまよりずっと安かったし。学費が高額なアメリカの医学校に行かず、アメリカで研修医(給料がもらえる)になったのは非常にコスパのいい学習パスウェイだった。

「MARCH」知らずの常識知らず

同期の研修医たちの多くは医学校の学費を借金で賄っていたため、高収入が得られやすい職種や職場を探していた。幸い、私には借金が皆無だったために、給料がさほど高くないことで有名(?)だった感染症科を生業なりわいにすることができた。

私は「カネで苦労はしたくない」と思っていたが、金持ちになりたいという欲望は強くない。そういう欲望が強かったならば、今のキャリアパスをたどることはなかったはずだ。

そんなわけで、全国の偏差値が高い進学校について私はあまりに無知である。東大や京大くらいはさすがに知っているが、「MARCH」と言われてもどの大学の話か言い当てられない。「産近甲龍」というコトバは今年になって初めて知った(笑)。

そうそう、神戸大学に赴任するまで私は関西に住んだことが一度もなかったので、「常識」を知らずにずいぶんとくだらぬ失敗をした。“西宮が三宮の東にある”のを理解できなかったくらいは御愛嬌だが、「うちの娘に灘校は難しいだろうか」と同僚に相談したときはさすがに相手は絶句していた。非常識にも程があるので、最近はさすがに少しずつ勉強している。

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写真=共同通信社

静岡県伊東市議会を解散し、記者団の取材に応じる田久保真紀市長=2025年9月10日午前、伊東市