パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の後任候補の一角とされるジェフリーズのデービッド・ザーボス氏は、FRBを独立機関と表現するのは正しくないと指摘し、パウエル議長について政治的に左派寄りだと評した。
ジェフリーズでチーフ・マーケット・ストラテジストを務めるザーボス氏は、「FRBが独立していたことは一度もない。FRBへの政治的な圧力はこれまで常に強まっていたし、今も強まり続けている」と経済専門局CNBCで発言。近年には民主党議員が金融政策当局に利下げを求めて圧力をかけていたと、同氏は説明した。
さらに、財務長官や政権が「舞台裏」でFRB議長に影響を及ぼそうとした事例が歴史上繰り返されてきたとも同氏は述べた。
CNBCは先週、トランプ大統領がザーボス氏を民間出身の次期議長候補の1人として検討していると報じた。ザーボス氏はFRBでエコノミストとしてのキャリアをスタートし、その後ウォール街に転じた。
ザーボス氏はパウエル氏について、バイデン前政権下で進められた数々の「クレイジー」な政策に対して「抵抗を示した」と評価。金融規制強化の動きや、「ウォーク(Woke)」(社会正義に目覚めた)的な取り組みへの反発を挙げた。一方で、財政支出が急増していた時期に財政を巡る議論に関与しなかったと批判した。
「反トランプ」
「パウエル氏は実際には政治の影響をかなり受けていると思う」とし、「彼は左派寄りの立場で動いている。あるいは言い換えれば、反トランプの側に立っている」とザーボス氏は話した。
昨年9月に50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利下げを実施したことを挙げ、大統領選まで2カ月足らずのタイミングだったと強調した。
パウエル氏は、共和党のブッシュ(父)政権下で財務省に勤務した経歴を持ち、トランプ政権1期目にFRB議長に任命された。
ザーボス氏はまた、過去数年にわたるFRBの着実なバランスシート縮小により、金融政策は多くの人が認識している以上に景気抑制的だとの持論を改めて展開。利下げの論拠になるとの認識を示した。
「バランスシートによる量的緩和の効果がなくなった今、金利ははるかに景気抑制的な水準にある」と指摘。「従って、金利をもっと中立的な水準に戻す必要がある」と続けた。
原題:Jefferies’ Zervos Says Fed Not Independent, Powell Left-Leaning(抜粋)
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