イオンタウンは6月12日、埼玉県吉川市の「イオンタウン吉川美南」の増床区画「東街区」をオープンする。東街区を増床することで、コロナ禍を加味した上での年間来館者350万人以上を計画している。
2020年度の実績は、緊急事態宣言下であっても生活必需品を販売する店舗が中心の近隣型ショッピングセンターであったため、年間来館者は前年比約20%増の310万人だった。増床区画がオープンすることで、コロナ禍でもさらなる飛躍を目指す。6月7日に、報道向け内覧会を開催した。
<イオンタウン吉川美南 東街区>
イオンタウン吉川美南は、2013年11月に開店した区画を1期(ANNEX)、2017年9月に開店した区画を2期(西街区)として開発を進めており、今回3期として東街区を増床オープンする。
SCは2012年3月にJR武蔵野線の新駅として開業した吉川美南駅の駅前に位置しており、東京駅への直通列車も通り、都心部へのアクセスに恵まれたエリア。都心で働く人々のベッドタウンとして、 今後ますます人口の増加と街の発展が見込まれている。
<駅前立地の西街区>
一次商圏は車で5分圏2万世帯・人口4万6000人で、競合SCとして「ららぽーと新三郷」がある。二次商圏は車で10分圏8万世帯・18万5000人で、競合SCとしてイトーヨーカドー三郷店を核店舗とするSC「ピアラシティー」、日本最大のショッピングセンター「イオンレクタウン」が出店している。
三次商圏は車で15分圏23万世帯・人口53万3000人、四次商圏は車で20分圏37万8000世帯・人口86万4000人を想定している。
JR武蔵野線「吉川美南駅」前で、車でのアクセスも良好な好立地であるが、一駅先の新三郷駅前に「ららぽーと新三郷」、二駅先の「越谷レイクタウン駅」前に「イオンレイクタウン」が出店しており、巨大な2大ショッピングセンターとの差別化が課題となっていた。
<アクアイグニス>
営業本部関東事業部の富澤照彦事業部長は、「東街区の核店舗として誘致した、いやしと食の複合温泉リゾート『アクアイグニス』が、我々のひとつの答えだ」と語る。
大型SCを含め、商圏の小商圏化が進む中で、イオンタウン吉川美南は2期(西街区)の核店舗に、「イオン吉川美南店」を導入した。生活必需品を展開する食品スーパー、ドラッグストア、調剤薬局を展開することで、日常生活のニーズには対応していた。
富澤事業部長は、「東街区のテーマは、『まいにちも、とくべつも、このまちで、プラスon!』とした。温泉リゾートは、2大SCにはない施設でありレジャー的な要素もある。アクアイグニスは、都心でなければ味わえない有名シェフが監修するフードゾーンも展開している。普段の買い物は西街区、ちょっとしたレジャーには東街区と使い分けができるほか、2大SCの利用者も取り込める店舗構成となった」と語る。
<アクアイグニスの温泉>
アクアイグニスは、2012年に三重県にオープンした「いやし」と「食」の複合温泉リゾートで、日本各地から年間100万人の来場者が訪れる人気リゾートとなっている。
専務取締役の三嶋章男営業・リーシング担当は、「SCの消費動向が、モノからコト、コトからさらにトキにシフトしている。物販店舗のテナント構成も定番で固定化している中で、差別化を考えた。差別化のポイントとして、楽しい時を過ごすサービスに着目し温浴施設を導入した。三重県という立地で、年間100万人の集客力のあるアクアイグニスと協力できたことで、ある意味とがった特色のあるリーシングが可能になった」と語る。
<LE CHOCOLAT DE H 吉川美南店>
他のSCにない温浴施設だけでなく、アクアイグニスは有名シェフが監修する「食」が特徴となっている。世界的パティシエ辻口博啓氏のショコラトリー「LE CHOCOLAT DE H 吉川美南店」が埼玉県初出店。ペルーの自社農園で栽培し熟成発酵したオリジナルのオーガニックカカオ豆をショコラタブレットにした日本発のFARM to BARショコラブティックで、店内には、カカオ豆の焙煎機を設置、自社農園の豆からチョコレートまでを一気通貫で生産するほか、ケーキやアイスクリームの製造キッチンも併設した。
単なる店舗ではなく、セントラルキッチン機能を有し商品の製造・物流の拠点としても機能する店舗で、都内の店舗へも商品を供給する予定だ。店舗では、1粒300円前後のチョコレートやケーキなどのスイーツを提供する。運営会社のフォルテシモアッシュの佐々木知子セールスプロモーションマネージャーは、「郊外店舗は、女性の来店比率が高くなると見込んでいる。超都心立地とは異なる郊外立地は、当社にとってもチャレンジだが、製造設備も完備した特色のある店舗であり、都心からもわざわざ足を運んでもらえる店舗にしたい」と語る。
<店内に焙煎機を設置>
また、東街区2階には、同じく辻口博啓氏の人気ベーカリー「Mariage de Farine イオンタウン吉川美南店」が出店。「毎日食べても飽きないパン」をコンセプトに、厳選した国産小麦を使用し、こだわりのパンを提供する。イートインスペースを用意し、焼き立てのパンを店舗で楽しむこともできる。
<Mariage de Farine>
さらに、世界の料理人1000人にも選ばれたアルケッチァーノ奥田政行シェフがプロデュースする自然派イタリアン「PASTA&PIZZA ilーheーcciano」がオープンする。オープンキッチンの臨場感あふれる演出の中で、こだわりの生産者から直接仕入れる最高の食材や奥田シェフのレシピのメニューを提供。今話題の「ゆで論」で繰り出すパスタなど、アルケッチァーノ・エノテカピンキオーリなど名店出身のシェフが腕をふるう。
<PASTA&PIZZA ilーheーcciano>
また、南青山にある4000Chinese Restaurant(ヨンセンチャイニーズレストラン)のほか、五反田や麻布十番で火鍋専門店オーナーを務める中華の達人菰田欣也シェフがプロデュースするカジュアルチャイニーズレストラン「麻婆点心館」が埼玉県初出店となる。菰田シェフの下で腕をふるっていた四川料理店出身のシェフが、四川・麻婆豆腐のなど、子どもから年配の人まで幅広い層が楽しめる料理を提供する。
<麻婆点心館>
そのほか、回転寿司激戦区と言われる金沢市でトップクラスの「金沢まいもん寿司」が埼玉県初出店となる。北陸日本海のほか、各地の今食べていただきたい旬のネタを、内装・器や調味料に至るまで味覚と視覚でたのしむ本格グルメ回転寿司を展開する。白身の王様と称される名物「のど黒」・海の宝石「富山白えび」、希少な「がすえび」など、関東では珍しいネタや王道の本まぐろやサーモンなど多彩なネタと北陸の地酒や一品料理などを提供する。
<金沢まいもん寿司>
温浴施設内にもフードコート「アクアイグニスまいもん食堂」を設置。心とからだをリフレッシュしたあとには「うまいもん」をテーマに、乾いたのどを潤す生ビールなどの各種アルコール&ノンアルコールドリンクや、北陸金沢を拠点とした「金沢まいもん寿司」プロデュースの味と素材にこだわった「料理」「定食」「おつまみ」、また隣接する「ル ショコラドゥアッシュ」の「スイーツ」まで提供する、新しいフードコートを展開する。
<アクアイグニスまいもん食堂>
イオンタウンとしてのリーシングでも特色を出した。2大SCにはない、屋上フットサルコートを展開する「SOLumコミュニティフィールド」を誘致。「SOLum」は、 漫画「キャプテン翼」の作者、高橋陽一先生と一緒に面白い「モノ」を創り出そうと立ち上げたスポーツブランド。日本サッカー協会認定コーチが所属しており、小学校高学年までの子どもを対象にサッカースクールを開講する。
<屋上フットサルコート>
また、2大SCにないプールや温浴施設を完備したフルラインのフィットネスクラブとして「スポーツクラブルネサンス」も誘致した。プール、スタジオ、ジムや、快適なスパ&サウナ、バリエーション豊かなスタジオプログラムを備えた広々としたワンフロアの総合型スポーツクラブを展開。25m×6コースの本格温水プールも備え、スイミングスクールも開講する予定だ。
イオンタウンのテナントを含む従業員向けに、特別会員価格も用意しており、ショッピングセンターで働く従業員のリフレッシュをサポートする福利厚生施設としての役割も果たす。
<スポーツクラブルネサンス>
イオンタウン内にもフードコートを設置。県内初出店となる中華料理「桃源」、ハワイのソウルフード「ポケ」を丼にした「ポケ丼」を提供する「ポケ屋」、クレープやジュースといったスイーツの「PANDA」が出店する。また、吉川市に初出店となる「バーガーキング」を誘致。日常使いできる手頃な価格帯の店舗をそろえた。
<イオンタウンのフードコート>
これまでの来店実績では、40代のニューファミリー層の来店が多いことから、フードコートでも子育て世代を意識し、小上がり席を用意した。飛沫感染防止のアクリル板にも、子ども向けに絵を描くなど、コロナ禍であっても楽しい食事ができるような工夫をした。
<フードコートの子ども向けの座席>
そのほか、物販店舗では、「ナチュラル」「ローカル」「サスティナブル」がコンセプトのセレクトグロッサリーストア「3store(サンストア)」が新業態店として出店。全国に店舗を展開する「カーテン・じゅうたん王国」が、新しいコンセプトのショップ「tentan Petite」をオープンする。
また、ニトリの中で人気のあるインテリア商品や、デコホームオリジナル商品を取り扱うホームファッションストア「デコホーム」、振袖の「成人式サロンKiRARA」・着付教室の「雪花きもの学院」を併設した着物の「いつ和」、幅広いアイテムの販売や買取を行っている総合リユースショップ「セカンドストリート」、古着やアウトレット日用品などを格安でご用意する「ナチュラル&エコロジー 」などが出店する。
<デコホームがオープン予定>
サービス店舗では、月額1000円(税込)から遊び放題で、乳幼児から小学生までの子どもが安心して遊べるジャングルジムやおままごとなどを備えた、活発に体を動かして楽しめる室内遊具施設「glace liberty オンパミード」が吉川市内に初出店する。また、体操を通じて、運動の苦手意識改善や社会性の育成、あいさつや礼儀、集団行動などを学ぶことができる、2歳から通える体操教室「ジムオルソ」が埼玉県に初出店となる。
さらに、おしゃれで広々とした店内にゲーム機を展開し、200種類以上の景品を展開するアミューズメント「APINA」やトヨタ自動車のディーラー「埼玉トヨペット」、めんどうみ合格主義で56年の学習塾「市進学院」などがオープンする。
■イオンタウン吉川美南
所在地:埼玉県吉川市美南3-25-1他
TEL:048-984-1020
1期ANNEX:敷地面積1万1640m2、延床面積4960m2、鉄骨造平屋建
2期西街区:敷地面積1万4870m2、延床面積1万4550m2、鉄骨造地上2階建
3期東街区:敷地面積2万1060m2、延床面積3万8670m2、鉄骨造地上3階建
駐車台数:第1期200台、第2期280台、第3期605台
店舗数:第1期8店舗、第2期28店舗、第3期36店舗
営業時間:専門店10時~21時(店舗により一部異なる)、
イオン吉川美南店8時~23時、飲食店11時~21時 (店舗により一部異なる)
従業員数:約1100人(内アクアイグニス:約400人)