最新のデータからは、いつもと変わり映えしない様子が読み取れました。AI開発企業による「収奪」は相変わらず続いています。
世界のインターネットトラフィックの約20%を代理・仲介するクラウドフレアは、AI開発企業のクローラーボットによる(コンテンツ)リクエストと、それらの企業が運営するプラットフォームからコンテンツ取得先のウェブサイトへのリファラル(送客)トラフィックを追跡してきました。
前者と後者のトラフィックを比較する「クローリング対リファラル比率」は、AI開発企業がウェブからどれだけのものを得て、どれだけのものを返しているかを示すシンプルかつ有用な指標です。
例えば、あるAI開発企業のクローリング対リファラル比率が100対1だとすれば、その企業はウェブサイトを100件クロールするたび、ユーザーを1回(ウェブサイトに)送客していることを意味します。
AIチャットボットはユーザーの質問や指示に対してテキストや画像を生成して直接的に回答するため、生成の材料の提供元であるウェブサイトをユーザーが訪問する頻度は低下します。それは同時に、高品質なコンテンツをウェブサイトで公開する経済的インセンティブを低下させることになります。

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さて、7月1日から7日までの1週間を対象に取得した最新のデータによると、アンソロピック(Anthropic)が引き続きアウトライアー(外れ値)的に突出した結果を残しています。2800件のコンテンツリクエストに対して、リファラルは1回きり。ウェブサイトへの送客をはるかに上回るデータをウェブサイトから収集しているわけです。
アンソロピックに続いたのは、リクエスト331件に対して送客1回のオープンAI(OpenAI)、リクエスト211件に対して送客1回のパープレキシティ(Perplexity)、リクエスト35件に対して送客1回のマイクロソフト(Microsoft)でした。
リファラル(送客)トラフィック1件当たりのクローラーボットのコンテンツリクエスト数。クラウドフレア提供のデータから作成。Andy Kiersz/Business Insider
グーグル(Google)はリクエスト5件に対して送客1回、ダックダックゴー(DuckDuckGo)はリクエスト3件に対して送客1回と、いずれもリファラルに対するクロール件数がひと桁にとどまり、ウェブからのコンテンツ取得と送客による還元のバランスが比較的良好と言えます。
アンソロピックは7月上旬時点でも競合他社に比べて断トツに「収奪」寄りですが、改善の兆しが見受けられなくもありません。1月上旬時点のクローリング対リファラル比率は6万5000対1、4月上旬時点では8800対1、そして今回が2800対1なので、大きな傾向としては収奪性が低下しているように見えます。
ただし、四半期の中間データ、例えば5月上旬の数字を見ると、2万4700対1と1月上旬への回帰を感じさせる猛烈なスクレイピングが行われていて、もしかしたら足元の軟化は、クローラーボットの一部が夏休みに入っただけなのかもしれません。
アンソロピックは安全性や透明性、信頼性を重視してAI開発に取り組み、ユーザーからもその高い倫理性を評価されてきた企業です。しかし、何が倫理的で何がそうでないかは、視点次第で異なる可能性があることをクラウドフレアのデータは示唆しているとは言えないでしょうか。判断は読者の皆さんにおまかせします。
ここ半年ほど、アンソロピックは自社モデルの出力結果を、中国のディープシーク(DeepSeek)やムーンショット(Moonshot AI)、アリババ(Alibaba Group)らが学習データに使ってそれぞれのモデルを開発・改良していると非難してきました。アンソロピックが利用規約で禁止している「蒸留」に当たる不正な手法とのこと。

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しかし、少し視点を変えて見れば、それはアンソロピック自身が(他の企業や組織の)ウェブサイトに対して行ってきたことと驚くほどよく似ているように感じられます。所有者の意向に反して(あるいは意向すら問うことなく)コンテンツを収集し、それを自社製品の開発・改良に利用する構図は、アンソロピックと同社が非難する中国企業に共通するものです。
アンソロピックは自社の出力が自社の意に沿わない形で使われることに慣れる必要があるのかもしれません。さもなくば、ウェブサイトに公正な還元を徹底することでダブルスタンダードを回避する必要があるでしょう。
筆者注:アンソロピックは過去に、クラウドフレアのクローリング対リファラル比率の計算手法に対して(検証不可能であると)異議を唱えています。また、新たな検索機能の導入により、ウェブサイトへの送客回数は増加傾向にあるとも主張しています。
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今週の「勝ち組」と「負け組」
アリババ・グループ(Alibaba Group)の直近1カ月の株価推移Markets Insider
勝ち組:アリババ・グループ(Alibaba Group)の第1四半期(4〜6月)決算に関して、金融大手UBSが7月8日に顧客向けレポートを通じて予測値を発表。アリババ傘下のサウスチャイナ・モーニング・ポスト(South China Morning Post)の報道によれば、売上高成長率が大幅改善して9%増、クラウド事業が45%増収するとの内容で、アリババ株価は前日終値比11%の急騰を記録しました。
セールスフォース(Salesforce)の直近1カ月の株価推移。Markets Insider
負け組:資産運用大手バーンスタイン(Bernstein)および金融大手キーバンク(KeyBanc)は7月9日、セールスフォース(Salesforce)の投資判断を「オーバーウェイト(強気)」から「セクターウェイト(中立)」に引き下げました。同社が今後10年間の成長をけん引すると謳(うた)うAIエージェントプラットフォーム「Agentforce」の顧客からの評価が芳しくないとの理由です。
セールスフォースの株価は同日2.4%下落しています。


