【論説】与党の自民党と日本維新の会が再検証していた北陸新幹線敦賀―新大阪の延伸ルートが、改めて現行計画の小浜・京都ルートに決まった。京都駅位置は、現在の京都駅の西に約5キロ離れたJR桂川駅付近の地下に新駅を設ける桂川案を採用した。今後は京都府・市などの理解を得て、福井県が求める2027年度末までの認可・着工にどうつなげていくかが焦点になる。
ルート再検証を行った与党整備委員会による意見聴取の中で、京都市の松井孝治市長は北陸新幹線延伸の「国策」としての意義を認めた上で▽地下水への影響▽建設発生土▽交通渋滞▽財政負担▽文化的・歴史的建造物などへの影響-の五つの懸念を提示。「市民の体感的な理解と納得が不可欠」とくぎを刺した。
特に財政負担については「京都市は(北陸新幹線を)誘致していない」と強調。これまでは地方都市が活性化の起爆剤と期待して熱心に誘致してきた整備新幹線だったが、既に新幹線が開通している都市部に“2本目”を国策として延伸させるのであれば、沿線自治体の財政負担はより軽減されるべきだという主張だ。
整備新幹線の建設費は現在、JRが支払う貸付料(JRが国側に支払う施設リース料)を充て、残りを国と沿線自治体が2対1で負担する。京都側の意見を受け、与党整備委の共同委員長を務める自民の西田昌司議員は6日の参院委員会で地方の財政負担軽減を主張。高市早苗首相から「あらゆる方法を検討する」と前向きな答弁を引き出した。
与党整備委はルート決定に合わせて「あらゆる方法」として▽貸付料を総工費の75%以上まで拡充▽国と地方の負担割合の変更▽国際観光旅客税(出国税)の活用▽自治体の起債に対する交付税措置の拡充―などを具体的に提示した。これらの分野は国交省、財務省、総務省などに所管がまたがっており、実現に向けては今夏から年末にかけて本格化する来年度の政府予算編成過程における与党の調整力が問われる。
京都側の地下水や建設発生土、交通渋滞などの懸念に対しては、今回のルート決定は関西を支持基盤とする維新との与党合意であることに期待したい。維新は滋賀県を通る米原ルートも支持しつつ、小浜・京都ルートにおいてより懸念が強いとされる京都駅に直結する案を除外し、市中心部を外して「新京都駅」を設けるイメージの桂川案で自民と歩み寄った。
維新側の前原誠司共同委員長はルート決定後に「懸念払拭に向けて説明責任を果たすと同時に実行に移していくことが大事」と明言した。自民と連携し、与党の責任をしっかりと果たしてもらいたい。


