宗教法人は政治家の裏財布:日本版スーパーPAC – INSIGHT NOW!プロフェッショナル
/米国もやっているし、民主主義の政治活動とは、そういうものだろう、などと言うなかれ。ためしに、資金源を締め上げてみろ。蜘蛛の子を散らすように、だれもいなくなる。弱者や困窮者、少数者への思いやりを忘れ、お友だちの仲間内だけで利権分配ばかりやっていれば、ジェンガのように民主主義が枠組から崩れる。/
政党や後援会などは、「政治団体」として、政治資金規正法の対象であり、寄附授受制限と収支報告義務がある。すなわち、その総量や出処(企業や組合、外国人)などが報告書でチェックされることになる。しかるに、「寄附」というのは、法律上は「金銭その他の財産」(有斐閣『法律用語辞典』第三版)に限られ、ボランティアやサービスのような労務を含まない。しかし、実際のところ、選挙などの政治活動の支出で最大のものは「人件費」であり、これを外部組織、とくに「公益事業」しか行っていない(ことになっていて収支計算書の義務が無い)宗教法人などが「ボランティア」として丸抱えすれば、アジャ、パー! と見えなくなる。 この絵図は、米国でも大きな問題になっている。米国の場合、政党や政治家に対する寄附は、個人も金額制限され、企業や組合に至っては全面禁止されている。その一方、社会問題や文化問題、環境問題など、政党や政治家とは直接関係の無い「政治行動委員会(Politocal Action Comittee、PAC)」は、自由な寄附集めと活動支援が認められている。そこで、特定事業だけのためのスーパーPACが業界ごとに設立され、大統領選挙キャンペーンなどの寄附を無制限にプールして政治活動に投入する方法が考え出された。スーパーPACは、政党や政治家と直接に接触してはならない。しかし、特定候補の主張を補強する活動や広告、とくに敵対候補を非難攻撃する大量のネガティヴ広告を得意とする。 昨今の宗教法人など、信者の数は知れたもの。そんな程度で政治家が当選したりしない、などという話は目眩まし。また、政党や政治家が関係を断てばいい、などという簡単な話でもない。重要なのは、不特定多数の信者や、そこにプールされた莫大な資金と人脈、利権で調達された人員、買収された著名人が、むしろ表向きの政党や後援会とは独立に、組織立って特定の候補者や政策を応援し、また敵対者を非難口撃すべく、ネットやマスコミで世論誘導を行うこと。いわゆる「陰謀」だが、あたおかな「陰謀論」としてかたづけられないほど、もはや現実味を帯びている。 これは、組織の身元を明らかにして意見広告を行う米国のスーパーPACより、タチが悪い。それも、困ったことに、工作に利用されて暗躍する本人たちは、大元に洗脳操作されているなどとはツユも疑わず、善意と信念に溢れている。食事会だの、園遊会だの、講演会だのに誘われ、破格の待遇でもてなされ、仲間内で話を合わせているうちに、本気でそう思うようになり、批判は嫉妬だ、陰謀論だ、などと言いだし、どこがおかしいのかもわからなくなってしまう。いっそ米国のように、ただカネ儲けの仕事としてやっているという選挙傭兵連中のほうが、また理性を保っているだろう。 でも米国もやっているし、民主主義の政治活動とは、そういうものだろう、などと言うなかれ。ためしに、資金源を締め上げてみろ。蜘蛛の子を散らすように、だれもいなくなる。弱者や困窮者、少数者への思いやりを忘れ、お友だちの仲間内だけで利権分配ばかりやっていれば、ジェンガのように民主主義が枠組から崩れる。そして、そこから鬼が入り込む。
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純丘曜彰 教授博士
大阪芸術大学 哲学教授
美術博士(東京藝大)、文学修士(東大)。東大卒。テレビ朝日ブレーン として『朝まで生テレビ!』を立ち上げ、東海大学総合経営学部准教授、グーテンベルク大学メディア学部客員教授などを経て現職。
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コラム:政治と円相場、日米仏それぞれの影響を考える=内田稔氏 | ロイター
日銀は14日、国債買い入れの減額方針を決めた。また、植田和男総裁は18日の国会答弁で、7月利上げの可能性に含みをもたせた。ここへきて金融政策の正常化に向けた積極姿勢がみられている。内田稔氏のコラム。写真はテネシー州ナッシュビルで2020年10月に行われたバイデン氏とトランプ氏のディベートの様子。代表撮影(2024年 ロイター)[東京 26日] - 日銀は14日、国債買い入れの減額方針を決めた。また、植田和男総裁は18日の国会答弁で、7月利上げの可能性に含みをもたせた。ここへきて金融政策の正常化に向けた積極姿勢がみられている。それでも市場は1年後の政策金利を0.25%程度としか見ていない。総じて正常化の進展に市場はなお懐疑的であり、国債買入れ減額の詳細を含め、これから実際に打ち出される政策から日銀のスタンスや真意を見極めるまで為替市場では円売り優勢の地合いが続きそうだ。加えて3月以降、先進国では利下げが相次いでいるが、金利差縮小による円高よりリスク選好の円売りが勝っている。「ドル160円」は、為替介入の要所として強く意識されており、ここからは円売りの主戦場がクロス円に移行し、ドル/円の上値は重くなるかも知れない。しかし、そこにドル高がかぶさる場合、介入警戒感や実際の介入があっても、ドル/円の続伸は避けられない。実際、足元で堅調なドル/円には円安に加えてドル高も影響しているとみられる。<ドル/円上昇招くフランスの政治不安>その背景にあるのは米国の利下げ観測の後退のほか、フランスの政治的不透明感に起因するユーロ安だろう。フランスではマクロン大統領が国民議会(下院)の解散と選挙に踏み切ったが、世論調査によれば極右の国民連合(RN)が大幅に議席を伸ばし、第1党となる見通しだ。マクロン大統領率いる与党連合は左派連合にも及ばず、第3勢力へと後退する公算が大きい。市場では国民連合による拡張的な財政政策とフランス国債の格下げが連想されており、ドイツとの長期金利の差(独仏スプレッド)も一時80ベーシスポイント(bp)と前回の大統領選があった2017年以来の水準まで拡大した。実際、フランスの財政に関する数値は現時点でもユーロ圏の平均に劣る。例えば、フランスの24年の財政収支(対国内総生産比でみたフロー)は4.9%の赤字だが、これはフランスを除くユーロ圏平均(2.3%の赤字)の倍以上だ。プライマリーバランスの対GDP比もフランスを除いたユーロ圏の赤字が1.0%であるのに対し、フランスの赤字は2.9%にのぼる。公的債務残高(グロス、ストック)もフランスを除いたユーロ圏の平均71.2%に対し、フランスの方が111.6%と高い(数字はすべて国際通貨基金)。本来、こうしたユーロ安が対ドル、対円にバランスよく波及する限り、ドル/円には中立の材料となるはずだ。ただ、日本の実質金利が大幅なマイナス圏にある為、実際にはそうはならない。また、フランスの政治的な混乱を背景に市場がリスク回避的となる場合でも、同様の理由からリスク回避の円買いが起こりにくいか、起きても短期間で収束するだろう。これは23年3月に米国のシリコンバレー銀行(SVB)が破綻した際、リスク回避の円高が限定的だったことからも確認済みと言える。従ってフランス、ひいてはユーロ圏の政治不安は引き続きドル/円を下支えしたり、押し上げたりする材料として機能する可能性が高く、今後も予断を持たずに注視しなければならない。<トランプ氏返り咲きならインフレ再燃か>米国の大統領選によるドル/円への影響も見ておこう。世論調査の集計によるとトランプ前大統領の支持率はバイデン大統領をわずかながらも上回っており、これは有罪評決の前後で大きく変わっていない。この背景に、世論の関心が経済やインフレに向けられており、裁判への関心がそれほど高くないことが指摘されている。目先は現地時間27日夜のテレビ討論会が重要だ。ここでバイデン大統領が言い間違えや記憶相違を見せれば、トランプ陣営は健康不安を突破口に攻勢を強め、一気に形勢がトランプ前大統領に傾く可能性もある。仮にトランプ前大統領が復帰するならば、これまでの発言に照らし、インフレ再燃を警戒しなくてはならない。例えば、トランプ前大統領は就任早々、バイデン政権の国境開放措置をすべて停止し、「米国史上最大の強制送還作戦」を実施すると発言している。これは、労働力の供給制約を強め、賃金インフレを高める恐れがある。また、25年に失効する自身の前政権時代に導入した所得税減税を恒久化するとしている。こちらも消費への刺激を通じ、インフレを助長する可能性が高い。さらに、その財源として輸入関税の引き上げが検討されている。対中国の60%に加え、その他の国にも10%を課すとされており、やはりインフレ圧力となりそうだ。いずれも利下げシナリオの後退や利上げシナリオの再浮上をもたらし、ドル高を招くと考えられる。もっとも、移民の減少は住宅需要の後退による市況の悪化や個人消費への下押しを通じ、インフレ圧力の緩和をもたらす可能性もある。そもそも所得税の減税恒久化は、大統領選の勝利に加えて上下両院の過半数も共和党が占める、いわゆる「トリプルレッド」とならなければ実現性に乏しい。また、拡張的な財政政策へ舵が切られる場合、経常赤字国通貨であるドルには下落圧力が加わる可能性もある。さらに貿易収支の不均衡がテーマとなれば、ここまでのドル高円安に対する政治的なけん制をきっかけに、相場付きが変化する可能性もある。米大統領選はドル/円に双方向の圧力をもたらすイベントとの認識が必要だろう。<日本の政治と円相場>最後に日本の政治を見ておこう。現在、岸田政権の支持率が低下しており、市場では近い将来の政権交代の可能性を指摘する声も聞かれる。政権交代が起きるとすれば、解散がない限り、現在の衆議院が任期満了となる25年10月末までに行われる総選挙での話となるが、1年以上も先であり、新政権の政策も未知数だ。それでも、22年の参院選における公約から各党の経済政策の基本的なスタンスはうかがえる。いずれの党も時限的か恒久的かの違いを除けば、消費税率の引き下げ(または廃止)を含む拡張的な財政出動の必要性を訴えている点で一致している。新政権が発足する頃には既に、日銀が国債買入れの減額を進めている可能性が高く、こうした拡張財政は長期金利に対して上昇圧力となる可能性が高い。これは潜在的な円高圧力となり得る反面、急激な国債需給の悪化が円安に結びつく可能性にも留意が必要だ。特に、長期金利が大きく上昇する局面では、新政権が2013年の政府・日銀共同声明を前面に押し出し、日銀に対して慎重な正常化(利上げ)を求めることも想定される。拡張的な財政運営がインフレ圧力をもたらしているとするなら、長引く低金利は実質金利(=名目金利-インフレ率)の低下を通じて、強い円安要因となる。7月7日に控える東京都知事選も国政選挙の縮図とみるなら、その結果次第で政局に発展する可能性がある。為替相場にも影響し得るイベントとして注目すべきだろう。編集:宗えりか(本コラムは、ロイター外国為替フォーラムに掲載されたものです。筆者の個人的見解に基づいて書かれています)*内田稔氏は高千穂大学商学部教授、株式会社FDAlco外国為替アナリスト、公益財団法人国際通貨研究所客員研究員、証券アナリストジャーナル編集委員会委員、NewsPicks公式コメンテーター(プロピッカー)。慶應義塾大学卒業後、東京銀行(現・三菱UFJ銀行)に入行し、マーケット業務を歴任。2012年からチーフアナリストを務め、22年4月から高千穂大学商学部准教授、24年4月から現職。J-money誌東京外国為替市場調査では2013年より9年連続個人ランキング1位。国際公認投資アナリスト、日本証券アナリスト協会認定アナリスト、日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト、経済学修士(京都産業大学)。*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」New Tab, opens new tab
「韓国の裁判所も迷走」慰安婦問題を政治利用する文在寅大統領の姑息さ 1月判決と正反対の4月判決の意味 | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)
韓国のメディアや世論は2つに割れた
4月21日、韓国の元慰安婦らが日本政府に損害賠償を求めた訴訟で、ソウル中央地裁が原告の訴えを却下した。却下とは訴えそのものを退け、門前払いにすることである。原告にとっては手痛い敗訴を意味する。原告は元慰安婦ら20人で、求めた賠償額は総額30億ウォン(約2億9100万円)だった。
写真=EPA/時事通信フォト
日本政府に損害賠償を求めた韓国慰安婦訴訟の原告の1人で元慰安婦の李容洙さん(中央)=2021年4月21日、韓国・ソウル
これは2度目の慰安婦訴訟判決で、1月18日の最初の判決では日本政府に賠償を命じていた。正反対の判決が出たことから、韓国のメディアや世論は2つに割れ、日本でも反響を呼んでいる。
なぜ、韓国ソウル中央地裁は正反対の判決を下したのか。
1月の判決は「慰安婦制度は日本政府による計画的かつ組織的に行われた反人道的行為な犯罪行為で、主権免除は適用できない」と指摘したうえで、「日本が韓国の裁判権に服する」と判断し、日本政府に対して「原告は想像しがたい精神的、肉体的苦痛に苦しめられた」と請求された全額の賠償を命じた。
12人の元慰安婦が原告となり、1人あたり1億ウォン(950万円)の損害賠償を求めていた。
「主権免除」という国際法上の原則から大きく外れている
1月の判決にある「主権免除」とは、主権国家は相互に平等であるとの観点から「国家とその財産は外国の裁判権には服さない」との国際法上の原則を指すものだ。簡単に言えば、「国家の行為や財産は他国の裁判所で裁かれない」という考え方である。国家間の円滑な関係を維持する国際慣習法の原点といえる。
今年1月15日付の記事「『元慰安婦に950万円ずつ払え』歪んだ判決を尊重する文在寅大統領の異常」でも触れたが、「主権免除は適用できない」という指摘や「日本政府が韓国の裁判権に服する」との判断は、国際的に非常識で大きく歪んでいる、と沙鴎一歩は考える。
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政治の仕組みを教えたって「主権者」は育たない | あらたにす
「主権者教育」
教育関係者ならご存知かもしれない、この言葉。その意味は、「国や社会の問題を自分の問題として捉え、自ら考え、自ら判断し、行動していく主権者を育成していくこと」です。筆者が向こう数十年をかけて取り組もうとしているテーマでもあります。
教育現場ではしばしば「国や自治体の政治の仕組みについて勉強すること」「模擬選挙をしてみること」と受け取られます。中学社会科の「公民」や、高校の「政治・経済」が、それらを直接教えるものだと考えられているのです。外部機関に委託して講演を開催したり、総合の時間に住んでいる市町村について調べたりすることを、その一環と位置付けることもあるでしょう。しかし私は、それだけでは「主権者」としての感覚はいつまでたっても身につかないと考えます。
文科省は、主権者教育の目的をこう定義しています。
単に政治の仕組みについて必要な知識を習得させるのみならず,主権者として社会の中で自立し, 他者と連携・協働しながら,社会を生き抜く力や地域の課題解決を社会の構成員の一人として主体的に担う力を, 発達の段階に応じて身に付けさせるもの (小・中学校向け主権者教育指導資料「『主権者として求められる力』を子供たちに育むために」より 下線、太字部は筆者が加筆)
主権者教育において、「政治についての知識」と同じくらい重視されるべきは、「自分の力で社会を変えられるという感覚」だと思うのです。むしろ、そちらを育むことに注力すれば、無力感を抱えている若者が減り、無数にある社会問題を解決するために行動する若者が増えるのではと考えます。そして、その力を育むことができるのは、他でもない学校という場所です。
学級や学校という社会をより良いものにしようと働きかけたり、多様な意見を擦り合わせて最適解を見つけたり、問題を解決したり。「自分たちで自分たちのことを決める」ことの面白さや、民主的に物事を決め「自分の意見が大切にされる」ことの心地よさを経験することは、自分が社会の一員であることを意識する大きな第一歩になるはずです。社会を参画していくことは、義務ではなく権利であると、ポジティブに受け取られるはずです。学校は、子どもが経験する小さな「社会」。この小さな社会でこそ、民主主義の練習をすべきです。
しかし、日本の公立学校はまだとても「民主的」とは言えません。「こんなことは生徒では決められないだろう」「生徒に責任がいかないように」「時間がかかるから」と大人だけで物事が決められることは少なくありません。クラス全体に関わることでも、「少数意見の尊重」もなく5分で多数決をして終わり、なんてことも。存在理由のわからない校則も当たり前。子どもは自分のできることが限られていることをわかっていますから、何かを大きく変えようとか、ここが問題なのだと声を大にして訴えることなど、はなから頭にないこともしばしばでしょう。
前回のあらたにすでも書いたように、学校生活では子どもの決定権がかなり制約されていて、大人との対等性がありません。確かに教員は子どもより知識が豊富で体も大きく、視野も広いですが、それは子どもの権利を制限する理由にはなりません。彼らの安全を守るために、やむを得ず大人の権力を行使する場面もあるかもしれませんが、怒鳴ったり、「ルールだから」と理不尽に押し付けたりしなくとも、落ち着いて粘り強く対話をすれば子どもが納得するケースはたくさんあります。対話を通して、逆に大人側が、制限しなくても良い子どもの権利に気がつくかもしれません。
もっと子どもの力を信頼する。仮に失敗したって、彼らの成長になるからと受け止める。大人はどっしりと構え、大人の役割や、制限すべき子どもの権利を精選し、必要な対話スキルを磨いていくべきだと思います。それが、子どもの「自分の力で社会を変えられるという感覚」を養うための第一条件です。
そもそも国が「主権者」を育もうとしているのは民主主義を維持するためです。「誰かアタマの良い人に」「専門家に」と政治を任せていては、いつの間にか、その人たちだけにとっての都合の良い政策ばかりになってしまうこともあるでしょう。さらに「政治家が変わるのは10年に一度にしよう」「首相だけは何年でも続けられるようにしよう」などと、今トップにいる人たちが、いつも「法律を決める権利」を握り続けられるよう、操作することだってできるかもしれません。立場の弱い人たちがより弱い立場に、強い人はより強い立場になるわけです。
様々な方向からの意見を聞き入れることなく、発言権のある一部の人のみの意見によって物事が決まっていけば、社会全体が道を誤る危険性も高くなります。意思決定に参加しない一般庶民は、「自分一人の力は小さい」「どうせ私が動いても社会は変わらない」と深い無力感にとらわれることでしょう。それは、投票への行動を抑制する効果を生むだけではありません。一人ひとりの力が必要な環境問題への取り組みや、新しいアイデアを実践するスタートアップの数を減らすことにも繋がりかねません。
「問題なく学校生活を送らせること」ではなく、さらに一歩先の「育めるはずの子どもの力を十分に引き出し、活力ある社会の参画者を育てること」を目標とする教育にするために。これから少しずつ働きかけていければと思います。
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アジアインフラ投資銀、政治対立と距離を置く=金総裁 | ロイター
[博鰲(中国) 31日 ロイター] - 中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)の金立群総裁は31日、たとえ多国間主義が厳しい試練に直面しても、AIIBは多国間融資機関としての責務を堅持し、政治的対立に引きずり込まれることはないと述べた。海南省で開催中の博鰲(ボアオ)フォーラムに出席の傍ら、ロイターのインタビューに応じた。金氏は、ウクライナ戦争や、スリランカなど新興国の債務再編を巡る米中間の対立など地政学的危機によってAIIBが方向性を見失うことはないと述べた。金氏は「多国間主義が圧力を受ければ受けるほど、われわれは多国間主義を守るために協力する必要がある」と主張。AIIBは「自らの基本的な責務に従ってクライアントを支援し続けるために、こうした逆風を乗り越えなければならない」と強調した。米政府は、スリランカやザンビアなど資金不足に陥っている国の債務交渉でAIIBが故意に進展を遅らせていると非難している。金氏は、AIIBはスリランカなどの加盟国に支援を提供する義務があり、こうした国が危機に陥っている場合はなおさらだとする一方、AIIBは信用度という点で自行を守る必要もあると説明した。
多様な政治が展開される「港町」という未知への扉 | ブックレビュー | 東洋経済オンライン
『港町巡礼 海洋国家日本の近代』稲吉 晃 著(書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします)
評者・東京都立大学准教授 佐藤 信
飛行機が現在のように一般化する前、港は未知への扉だった。島国・日本であればなおさらである。
国家を超えたヒトやモノの動きに注目する歴史学の動向もあって、「鎖国」以前については研究が著しく進展した。閉鎖的だと考えられていた日本列島の人々の海外との活発な交流が、そこでの港の重要性が、明らかにされてきた。
開港地からヨットハーバーまで 多様な政治が展開される港町
他方、「開国」以降の港についての歴史研究は、とりわけ同時期の鉄道と比したとき、遅れている。著者は前著『海港の政治史』以来、こうした停滞を破ろうとする若手研究者たちを牽引する存在である。
開国以後の港町というと、舶来の文物が集う印象がある。例えば、開港50年を記念してつくられた横浜市歌は「飾る宝も入りくる港」と謳(うた)っている。しかし、江戸・東京からほど近い横浜ならいざ知らず、入ってきた文物を内地に流通させるためには国内交通、なかでも鉄道との接続が不可欠だ。また、船舶が大型化すると港の深さも問題になる。
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参議院議員の石崎聖子さん、さて誰でしょう? 政治団体の収支報告書から「旧姓使用」を考える:東京新聞 TOKYO Web
戸籍名を記載している議員の収支報告書。上段が山谷えり子氏、2段目右が森まさこ氏、同左が丸川珠代氏、3段目右が蓮舫氏、同左が橋本聖子氏=一部画像処理
国会議員らが代表を務める政党支部などの政治団体。その収支報告書の代表者名は、ほとんどが「戸籍名」で記載されている。だが、旧姓で政治活動する女性議員らは少なくなく、なじみのない戸籍名での表記だとわかりにくい一面もある。今後、女性議員が増えると見込まれる中で、少なからぬ混乱を生まないか。選択的夫婦別姓制度導入に向けた議論も進む。収支報告書から、「旧姓使用」を考えた。(特別報道部・木原育子)
◆普段は旧姓、見慣れない戸籍名 総務省は「選管に任せている」
講演する橋本聖子・東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織員会会長(参議院議員)=2021年11月
1日、JR新橋駅周辺。石崎聖子さん、小川恵里子さん、大塚珠代さん、三好雅子さんの名前をノートに書き、行き交うサラリーマンら20人に「突然ですが、この人を知っていますか」と尋ねてみた。
営業途中に駅に立ち寄ったシステムエンジニアの男性(31)は、「う~ん…」と数秒の間の後、「アイドルって感じの名前ではなさそう。往年の女優さん?」。
喫煙所にいた飲食店勤務の男性(32)は、「昔つきあってた子に、聖子って名前の子がいたな」と遠くを見つめた。銀行で用事を済ませて会社に戻る途中だったという事務員の女性(47)は「見当もつかない。一体、この人たち誰?」。
この日、男女計20人に同様の質問をしたが、正解した人はゼロだった。この4人に加えて、「斉藤蓮舫さん」を加えると、20人のうち2人が正解した。
この女性たちは参議院議員だ。橋本聖子議員、山谷えり子議員、丸川珠代議員、森まさこ議員、蓮舫議員の戸籍名。閣僚や閣僚経験のある女性政治家で現役の国会議員は現在19人いるが、この5人は結婚するなどして戸籍名と政治家としての活動名が違う。閣僚経験のない議員を含めれば、もっとあるだろう。
この5議員が、代表を務める政治団体の収支報告書代表者欄には、見慣れない戸籍名が記されている。
総務省に聞くと、収支公開室の担当者は「実質的な審査権はなく、届け出されているものを受理するだけ。政治資金規正法上の規定も設けられていない。各選管に任せている」。
◆収支報告書にどう記載するか、厳格な定めなく…
そこで3月下旬、「代表者名の記入欄はどのような規定になっているか」と、47都道府県選管に質問文書を送った。結果は、33都道府県が「戸籍名」での記載を求めていたものの、その理由はさまざま。
最多の24道県が答えたのは、「政治団体の設立届に記載された代表者名の記入を求めている」というもの。設立届の代表者は、戸籍上の氏名の記載が必須なため、必然的に収支報告書の代表者名も戸籍名になるということだ。
三好雅子の名で福島県選管に「県参議院選挙区第4支部」の報告書を提出した森まさこ議員は、「通称名やペンネームではなく、必ず戸籍上の氏名を記載してくださいと(県選管の)注意事項にある」と文書で回答。山谷議員の事務所も「東京都選管は戸籍名での提出を求めている」と答えた。橋本、丸川両議員も同様の答えだった。
だが実は、政治資金規正法上、収支報告書に代表者の氏名をどう記載するか、については厳格な定めはない。「設立時に戸籍を確認しているものではない」(福井)、「整合性のみを確認している」(広島)と言葉を足した選管も多かった。
そのほか、「法に基づいて行う各種の届け出は全て、『戸籍名』を用いて行うことが原則だ」(山梨)、「通例、氏名は戸籍名と認識している」(兵庫)と戸籍法に基づく意見もあった。 この「旧姓使用」、何が問題かというと、政治資金の流れをチェックする際に分かりにくいことだ。